裸エプロン先輩
久々の更新で、このタイトルはどうなのかと自分でも思うけど、お久しぶりです、皆さん。
今日は珍しく、タイムリーなこと書こうと思います。なんと今週号のジャンプのマンガの話。
ではいつも通り、容赦なくネタバレしますので、ご了承のほどを。
さて、それで「めだかボックス」なわけです。
先週のヒキを、死亡フラグと呼ぶには余りにも白々しいそれを、まさか律儀に守るだろうとは、おれだって完全に信じていた訳じゃないですよ。しかし、それにしたって、失われた筈の「大嘘憑き」を死後に発動とか、彼の「魔族大隔世」さえ恥じらう凶悪なご都合主義を炸裂させるとは。
最悪だ。
なのに、それでこそ球磨川先輩と、拍手喝采のおれがいて、ああ、おれって実はかなり球磨川先輩大好きなんじゃね?みたいなことに気がついたりしていました。
『追いつめられたら奇跡的に都合良く新たなパワーに目覚めるとか』『そーゆーのは週刊少年ジャンプの中だけにしてほしいよね』って、あんたが言ったんでしょうが、禊ちゃん!!
言うに言われぬこの気持ち、誰か分かってくれないかと思って、世間の皆様方のツイートを検索していました。
その中でずくんと、おれに訴えてきたのが、さしみん様のツイート。
「めだかボックスの球磨川くんを首ちょんぱにして殺して部屋に置いといたのをお母さんに見つかる夢を見た。焦ってたら球磨川くんが首だけで喋りだして、お母さんはなんだ死んでないって納得してホッとした。カオスすぎる。」
分かる分かる!!
まさにそれだよっ!!
みたいなテンションで大感激して。ひさしぶりに、ブログ更新したくなるくらい。
ああ、そういう夢を、よく見るよね。ほんとう、しょっちゅう見る。自分の殺した誰かの生首を、朝食と並べてテーブルの上に飾っておくような夢を。
いや、違う。見たことなんかない、そんな夢を。 正確に言おう。「見ている」のではなく「見たい」んだ。
そうだとも、おれは見たいんだ。生首を部屋に飾るような夢を見たい。しみじみ見たい。実は見ているのかもしれない、でも、おれはおぼえていられない。だって、そんなことしたら、お母さんに見つかっちゃうじゃないか。
そんな夢をみておいて、恥ずかしげなく記憶にとどめておれるほど、おれはタフじゃない。おれの小市民としての、せせこましくもいとおしい毎日が、おれをとがめる。おれの常識と平和と小動物を愛する優しい心が、お母さんの姿となって悪夢を辱めるために登場するだろう。
でも、だったら、おれの中の、くろぐろと誰かのクビを切り落とさずにはいられない、その何かは、どこ行っちまうんだ。それはおぞましくも、醜くも、哀しくも、たしかにそれでもおれのみっともない大切な一部に違いないのに。そいつが、置き去りにされて、ないがしろにされて、踏みつぶされて、悔しさにもがき苦しんでいるのだとしても、おれは気がついてやることさえ出来ない。そいつのキモさをちゃんと認めてやれるような、そういう生き方をおれは生きてはいないのだから。
そのおぞましい生き方を過負荷と呼んで、球磨川さんは身を以て示そうとする。球磨川さんは、きっと、おれにもクビを切り落とさせてくれる。彼自身が言っていた。
『受け入れることだよ』と。
『不条理を』
『理不尽を』
『嘘泣きを』
『言い訳を』
『いかがわしさを』
『インチキを』
『堕落を』
『混雑を』
『偽善を』
『偽悪を』
『不幸せを』
『不都合を』
『冤罪を』
『流れ弾を』
『見苦しさを』
『みっともなさを』
『風評を』
『密告を』
『嫉妬を』
『格差を』
『裏切りを』
『虐待を』
『巻き添えを』
『二次被害を』
『愛しい恋人のように受け入れることだ』
そのリストにも呼ばれぬ、些細で惰弱で低俗な全ての情欲も、彼なら受け入れようとする筈だ。
だから、彼なら、おれがクビを切り落とす夢に出てくれる。間違いなく、自分がクビを刈られる役を買って出てくれる。その夢の生臭いキモチ悪さを、おれとともに、まるで愛しい恋人のように、受け入れくれるだろう。
そして、そのキモチ悪さもひっくり返され、混ぜっ返されてしまう。生首が括弧つけて話しだして、グロさも、怖さも切なさも、どっかいってしまうような、それでいて同時にいよいよ増すような、なんだか良く分からないことになってしまう。お母さんが「あら死んでないんだわ」とホッとして、せっかく盛り上がった物語の内圧がぷしゅーっと下がって、どうオチをつけるのか見当もつかない。「はっだかエプロンせんぱーい!!」と歓声を上げたいような少年漫画的カタルシスと、シュールなギャグ漫画のクールなオチが同居する、かなり居心地の悪い割り切れない感じ。
その時、おれはきっとその夢を憶えていられるだろう。目覚めてから、ひとに話すことさえ、出来るかもしれない。
球磨川禊の持つそんなイメージを、言いたくてうまく言えなかったんだけど、さしみん様が見事に言葉にしてくださったと思った。天才か。
球磨川先輩の名セリフは多いけど、おれが一番好きなのは、
『約束を守る』
『約束を破る』
『僕は今どちらでも好きな方を選べるんだから』
『約束は破るためにあるとか言っているワルモノには』
『考えられないような自由度だ』
というやつ。
今週号の展開もそのセリフの視点から見直せば、
『フラグ通りリアルに死ぬ』
『ご都合主義超展開で生き返る』
『僕は今どちらでも好きな方を選べるんだから』
『死ぬことを許されない主人公には』
『考えられないような自由度だ』
とへらへら笑う這い寄る過負荷の顔が目に浮かぶようだ。
そう、彼が笑っても、括弧つけるのを止めても、それでも彼は球磨川禊。「いいコトを言ってからが本番」なのだ。喜連川会計が、女子中学生5人組が、恋に落ちちゃうくらい支持したって、すぐ来週にも、てのひら孵ししてくれるかもしれない。
登場して以来、球磨川先輩は過負荷として、常に一線を守ってきた。彼は「弱いものの味方」であることだけは、決して枉げたことがない。しかし、それさえ「すがりつきたくなるような嘘」にすぎなかったのさ、と、あっさり翻してくれるのではないか、そんな自由度さえも期待してしまう。
そして、あの熱い展開はなんだったんだと、がっかりするおれに向かって、『ジャンプの漫画だから大丈夫と思った?』『甘ぇよ』と、そして『…が』『その甘さ』『嫌いじゃあないぜ』と微笑んでくれるのはないかとおもうと、wktkしちゃう。
或いは、こんなおれのひねくれた期待をさえも、さらりと裏切ってくれるのかもしれない。弱きを助け、強きを挫き、努力と根性と信頼と熱血と、超強力異能力で敵をやっつける、複数女子にもてもての、王道主人公になっちゃうかもしれない。このパターンが最悪がっかりだけど、それはそれで、その残念感も球磨川先輩ならでは味わいだろう。
どう転んでも、残念な未来しか見えない。球磨川先輩、ちょーかっけー。
という訳で、当分「めだかボックス」から目を離せないのでありました。
さしみん様、快くツイートの引用をお許し下さって有り難う御座いました。
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