Fate/stay nightの話の続き その6 凛と桜
余談ですけど、よくギャルゲとかに出てくる押し掛け系の幼なじみって、凄くうざくありませんか? めちゃくちゃ気持ち悪いでしょ。
朝、勝手に主人公のベッドサイドまで侵入して、起こしたりとかさ。本当にそんなことするヤツいたらマジギレですよ。「母さんにも起こされたこと無いのに!!」
いや、桜の話なんですけどもね。
うざいおかんタイプ? おれはそういうタイプ凄い苦手なんです。でも、男の人たちって、そういうの好きな人多いんですかね。なぜかギャルゲとかには結構いっぱい出て来て、それが、おれがあまりギャルゲをしない理由でもあるんですけど。
Fateにもそういうキャラ出てくんのか、って思って、本編始まってすぐ、投げだしかけました。
しかし、プロローグで「この話は見たまんまじゃないんだよ」と約束されたのを信じて、根性で最後の最後までやったんですけどね。
でも、結局、桜は、おれにとってはファーストインプレッションの通り。健気で可哀想で、侵入的な女のままだったんです。
ただ、大抵のギャルゲでは、そういう特徴がしばしば魅力的なものとしてポジティブに扱われることが多いのに、Fateでは「キモ」「ウザ」「コワ」とおれの感覚にかなり近いところで描かれていたから、気分良くプレイ出来ましたね。
最終的には桜大好きになりましたから。
ただ、そのウザさ、キモさ、って、桜の特徴として描かれたら、あんまりなぁ。
見たまんま過ぎて、プロローグで宣言されたほどの矛盾や葛藤の物語にならないと思うんです。
そのキモさは、凛のものとして描かれるべきものだったんじゃないのかなぁ、と。
一見、華麗で、大胆不適で、自信満々で、圧倒的な強者であるかに見える遠坂凛の中に、寂しくて、泣きじゃくりながら、しがみつく相手を探し求めているような幼女が潜んでいたら。或いは、盲目的で、侵入的で、どん欲な、むせ返るような愛情で、相手を何も出来ない赤ん坊にまで溶かしてしまおうとする、母性が蠢いていたら。
要するに、桜ルートの通称黒桜的な要素を、凛が隠し持っていたことにした方が、話が早いんじゃないの、って思ってて。
だって、凛的な外面と、桜的な内心のドロドロが、それぞれ個別に存在しているというのは、正直、無理があるでしょう。凛みたいに鮮やかに強がっていたら、内心どうしたってドロドロせざるをえない。桜の内面の溶岩を抱えたまま生きのびるには、どうしたってよほど気合い入れて外面突っ張らからないと、一気に崩壊しますよ。
だから、あの二人は姉妹として語られるんだと思っています。あの二人に何か強いつながりが無くてはならない、というのは、物語の必然だと思います。
ただ、おれとしては、それでもまだもの足りんのです。
だって、最後、やっぱり、凛と桜が違う人のままではないですか。
桜ルートのグランドフィナーレで、凛に救いが無さ過ぎる。
プロローグで仄めかされた、凛の傷付き。
凛はそのとき、実の父親から見捨てられる体験をしている。しかし、彼女はまるで何事も無かったかのように、その後も、父が選び設計したレールの上を歩き、父親が望んだ通りの遠坂の魔術師に成長した。
全ては、自分自身が望んだことだと、父親のせいではない、父親のせいではないと、絶えず父親のために言い訳をしながら。
そして、今、彼女自身には何も叶えたい望みが無いのに、聖杯戦争に参加しようとしている。
それが父親が彼女に遺した最後の規範だから。
この彼女の傷付きは、どこへ行くんだろう、と思ってしまう。
UBWで、ほんのちょっとだけ滲み出るじゃないですか。アーチャーに裏切られた直後、教会からの帰り道ですよ。
背中合わせに座った士郎にもたれかかって「独り言だからね」って言い訳しながら泣き言を言うシーンがある。士郎からちょっと「弱音吐いて良いんだ」って言われただけで、彼女の強がりは脆くも崩れ去りそうになる。
でも、そこで士郎が残酷にも「遠坂は失敗はしても間違いはしない」とか言って、それ以上崩れることを許さないんです。常に、颯爽として無謬の遠坂凛であることを要求する。
これは士郎のエゴでしょう。遠坂が強く正しい方が、士郎君に取っては都合がいい。
HF編で、いつもの日常の彼女の微笑みが、間桐家での地獄の責め苦を押し隠してのことだった、と士郎君は気付く。これまで自分は気付かなかった、いや、気付こうとしなかった、自分に取って都合がいい嘘を疑わなかった、と。桜は、そんな風に、気付いてもらえる。
なのに、遠坂凛は?
いや、まさにそこんとこ、その放置されっぷりが、遠坂のたまらん魅力な訳ですが。
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コメント
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結構面白い話でしたよね。
投稿: Fate stay night同人誌 画像 | 2010年10月28日 (木) 16時19分