オーディンスフィア リプレイ日記13 「ワルキューレ」第四章 ━ホームポイント━
第四章ですよ。第四章に入りましたよ。
奥さまモードのグウェンドリンですよ。
そして、オズワルド様。
私の夫。
私の主人。
…だ。
だんなさまあああああああ!!
キャーO(≧∇≦)Oキャー (おちつけ)
いや、もうね。こっからですよ。(じゃあ、今まではなんだったのかと)
出会った時に敵味方、ってのもツボでしたけど。この、最初は形式的に結び付けられて、不信と拒絶から始まるラブストーリーというのが、もうほんとにね。
たまらん。
「親の決めた許婚」とか「政略結婚」とか。
もう、どんだけ王道なのかよ、と。
でも、そこがいい。
ホームポイントの時点では、誰が夫になったのか分からないというのも、ドキドキワクワクのいい演出でした。
ブロム
「今日もお美しいですな」
グウェンドリン
「ブロムさん…
「!」
「それは私の槍…なぜここに?」
ブロム
「うむ…あやつがオーダイン王に
もらったとか言っておったのう…」
「…姫は王の娘さんじゃったな」
グウェンドリン
( 姉様が最後に託した槍を
人にあげてしまうなんて…)
松岡文雄。
松岡文雄。
その名を覚えよ。松岡文雄。
このゲームで、一番印象に残った声優さんです。ブロム役で初登場。
寡聞ながらおれはこの人を知らなかったのだが、皆さんはご存じだったのでしょうか。凄い名優ですよね。ブロム、エドマンド王、クロイツ先生、と、男性のある種の極を、たった一人で演じきっておられる。
特にブロムが、素晴らしい。
第四章はオズワルドの章である、と個人的に思っているのですが、振り返ると、オズワルドを描くために、ブロムが絶対に必要だって感じがする。このキャラクターを、ここにおく演出センスって大変なものだと思うんですけども。
まあ、最初にこのシーンを見たときには、「かわいいおじいちゃん出た」くらいの感じでしたが。ブロムについては多分また今度書きます。
それより何より、ベッド脇に何気なくサイファが立て掛けてあるのが、驚きでした。
「なぜここに?」
3章の後半から、おれのグウェンドリンへのシンクロ率が急上昇中でしたが、ドレス着てからは400%でしたから。セリフのタイミング完全に合いました。
サイファ。
ただの武器ではない。「姉様が最後に託した…」最後の愛のあかし。そして、怨念。「戦って死ね」「死ぬまで殺せ」血塗れの遺産。
私はもうワルキューレではない。と、一度はあきらめ、捨て去ったはずの、自分の力。
エルリックが、捨て去っても、捨て去っても、ストームブリンガーに付きまとわれるように。
Fateシリーズの術語でいえば「宝具」、となるわけだけど、英雄はしばしば専用の武器をもっていて。それは、英雄の二つとなき友、最も頼れる存在である、一方、英雄に苦難と試練を強いる、くびき、呪いとしての側面がある。
実は、その両面は、英雄自身がもっている。「宝具」のようなイメージはその象徴にすぎないと、おれなんかは思ってしまったりしていて。
「英雄児」、そのタイトルずばりで、司馬遼太郎が短編を書いている。伝説上のそれでなく、近世に実在した河井継之助という男についてを、「英雄」の所業として書いているのだが、むしろ、この一個の英傑がいたために、戦争の惨禍がより激しく地域住民を食い散らかしたのだ、と、鋭く描き出す小説である。この場合、英雄とはむしろ天災のようなものではなかったか、と。
河井の死後、その墓石が、何度建て直してもその度に、同郷の人々の手によって砕かれる、という結びが哀しい。
後に司馬は長編「峠」で同じ人物をかなり好意的に描いているのだけど。個人的には、おれは、この「峠」での河井が大好きで。容姿風采はともかく、おれ的には王子的というか。(えーと、史実上の河井さんには会ったこともないし、好きも嫌いもありません。あくまで、彼をモデルに書かれたフィクションの登場人物への好き嫌いの話です。遺族・関係者の方、ご容赦ください。)
しかし「峠」が面白いのは、「英雄児」で、河井の英傑の禍災をシビアに見つめた視点があるからだと思っている。
どうして、おれはこういう英雄譚がすきなんだろう。
みんな好きだよね、英雄譚。繰り返し、あらゆる時代で、実在・架空を問わず語られる。
なんでだろう。
おれは想像しています。
英雄とは、実に半端なものだ。力はある。しかし、神ではない。何もかも成し遂げられはしない。栄光と悲哀の混ぜ物。その半端さが、おれらと似ているからじゃないか。英雄の事績からはスケールが大きく落ちるけどさ。
何か出来ることはある。0ではない。でも、勿論、100%でもない。何が出来るか出来ないか、そもそも何をしようとし、何をしないでおくのか、自分で裁量できる部分と、そうでないことがある。にもかかわらず、なんにしろ、その人の在り方には、その人自身が責任を負っている。
人の自由は、光明であり、同時に災厄でもある。
それは、誰にもごく当たり前のこと、おそらく、世間の人はみんなそうだ。そんな状態のことを、みんなこう呼んでいる。
「大人」と。
話を戻します。
ベッドサイドに、立てかけられた、青い魔石の槍。
グウェンドリンは「姉様が最後に託した槍を人にあげてしまうなんて」と、まるで父王を非難するような口ぶりだが、ちょっと待て。
グリゼルダが槍を託したのは、グウェンドリンにであって、オーダインじゃないよ。
託されたその槍を使って、王と国に反逆したのは、軍団の将としての義務を擲ったのは、姉が託した思いを裏切ったのは、君じゃないか。グウェンドリン。
また、ここからおれの想像の話ですが。
グウェンドリンが、そこに、槍を見つけたことを、怖れている感じがするんです。
そこに、失われたはずの自分の力が、ひょいと手を伸ばせば届く距離に、誰も止める者もなく、さあどうぞと言わんばかりに用意されていて。それを喜んだり、或いは、新たな夫なる人の意図をいぶかしむでもなく、なぜ、父王に不満を感じるんだ、変だよ、グウェンドリン。
まるで、槍がそこにあるのが、気に入らないみたいだ。
うん。気に入らないんだよね。きっと。
グウェンドリンは、ずっと逃げたかったんじゃないの。力から。責任から。自由から。大人であること、から。悲劇のヒロインでいたかった。フロムの名著「自由からの逃走」なんてあたりを連想してみたりして。
さらに想像を広げると、この時点では未登場の夫(十中八九オズワルド以外にあり得ないと予想出来ていたけど)の、新妻への強烈なメッセージと感じることもできる。大人であれ。逃げるな。力から、責任から、自由から。なぜなら、君は、物ではないのだから。
名前とか素性とかより先に、オズワルド様の実存的厳しさが提示されるキャラクター描写。凄くない?
グウェンドリン
「私…長く眠っていたようね…」
ミリス
「ご気分はいかがですか…?
もう少し経ったらお茶にいたしましょう」
グウェンドリン
「あなたまでついて来てくれて
…幾分か気持ちが落ち着きます」
ミリス
「嫌だと言われてもお側で
お世話させていただきますよ」
グウェンドリン
「ミリス…ありがとう」
でも、ここで、厳しいばかりではないのが、更にこのゲームの凄さなんだと思う。
ミリスが、グウェンドリンの幼さと傷つきをそっと抱きとめ、ゆるしてくれる。
おっさんの世代としてはさ、「あたしなんかどうせ」みたいな態度で、これ見よがしな自己犠牲を繰り返すグウェンドリンに「いい加減にしなさい」と説教したくなるところですよ。「もっと自分を大切にしなさい」とかさ。
でも、しょうがない。今はしょうがない。おれもグウェンドリンの気持ちよく分かるよ、シンクロ率400%だから。手首を切りつけて、流れる血の熱さを感じる以外に、生きている実感がない時もあるんだよ。自分だって、そんな自分にうんざりしているんだ。下らない真似をしている、自分なんか生きていたって仕方がないと思う。だから、こうして、罰を受けていきずりの男の物になったじゃないか。そのこと自体が、やはり下らないことなのは分かっている、姉の期待を裏切り、父を悲しませた。ではどうすればよかったの。
そんな、袋小路。悲しい、つらい、その気持ちは、でも、凄く分かる。自然な気持ちだよ。誰にだって、そんな気持ちはある。
などと言う理屈を一切言わず、ただ、ミリスが、常と変らぬ忠節を持って、落ち着いてそこにいる。慰めることさえしない。
すごいシーンだ。
プーカ
「お姫様、プーカの商いでございます
何か必要なものはありませんか?」
プーカ商人もかわいいんだけど、青商人に会えなくなってしまったのはさびしかったなぁ。
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