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2007年7月24日 (火)

オーディンスフィア 二次創作小説 その3の後 グウェンドリン×オズワルド 「タイタニアン ナップルパイ ━後篇━」

先日のやつの続きです。できたら、前篇からお読みいただければ、と存じます。

後編に入って、より雑に、より馬鹿に、より投げやりに。捏造度も数倍にパワーアップです。

ダメじゃん。

お目汚し失礼いたします。

舞台は辺境の古城、「ワルキューレ」終章から数日後、「終焉」の前です。

では。

 



 

「しかし、オズワルド様がルーワートのハーブをお使いになることをご存じだなんて、驚きましたわ」

ミリスが、雰囲気を察してか知らずか、柔らかく訊ねた。

「本格的ですのね?」

「そうなのか?」

オズワルドには、菓子の本格も破格も知ったことではない。単に、メルヴィンのレシピをなぞっただけだ。

問うようにブロムの方を見ると、同様に首をかしげている。

「ルーワートはなかなか貴重なものですから。まして、種ではなくハーブとなると」

ミリスが説明してくれる。

「タイタニア以外の国では、ルーワートを使わないのが普通ですわ」

「そうなのか。ただ、俺は、子供の頃に食べたままを、作ってみただけだ」

「左様でございますか? オズワルド様は、何か、タイタニアと縁がおありなのかしら。もともとは、ナップルパイは、タイタニアの伝統的なお菓子ですのよ。“ナップルパイのようにタイタニア風”という慣用句もあるくらい。タイタニアの子供には、貴賎を問わず、ナップルパイが母の味なんですって」

会話は続いていたが、グウェンドリンの耳には全く入っていなかった。

オズワルド様の子供の頃!!

その言葉が、グウェンドリンの脳裏を閃光のように走り、彼女を叩きのめした。

それまで、薄く幾重にも重なったパイ皮の襞、この一枚一枚をオズワルド様の指が、まさぐり、捏ね、撫でまわしたのだわ、と、味わいながら、もじもじとふとももを擦り合わせていたグウェンドリンだったが、その言葉に打たれたように身をこわばらせた。

目の前を、少年が、駆け抜ける幻影を見た。

紅玉の瞳、清水の飛沫のような銀髪を揺らして、やんちゃに笑う……は……半ズボンの……

かっ。

「か?」

思わず声に出ていた一文字に、ミリスが怪訝そうに振り返ったが、そんなことなど眼中にない。

“かわいい”。そうだ。そうだったんだ。

ラグナネイブルにも、さすがに、子どもに対してなら、その種の表現がある。“かわいい”。オズワルド様、って、そうなのよ。そのとおりよ。椅子の上で固まったままの肉体を離れ、彼女の本体は、テーブルの上で、青い小鳥と手を取りあってポルカを舞い踊った。

オズワルド様の子供の頃。細い足。膝小僧に擦り剥き傷が。私よりも背が低い。声変わりさえする前の。利発そうなくるくる動く瞳。いたずらっぽく笑う、生意気そうな口元。

ああ、かわいいいいいいいいいい!!

空想の中で心おきなく叫んで、彼女は想像上の子供を胸に抱きしめた。ああ、すっきりした。ずっと、言いたかったのは、この気持ちだ。

『苦しいよっ、お姉ちゃん』

彼女の腕の中で、少年オズワルドがもごもご動いた。

『ご、ごめんなさい、つい』

『急に抱きついてくるんだもんなぁ。びっくりしたよ』

『だって、あなたが、すごく可愛いんだもの』

ああ、空想の中でなら、こんなに素直に言えるのに。

『…なんだよ、そんなの。男がかわいいなんて、おかしいや』

生意気を言うけど、少年オズワルドは耳まで真っ赤だ。いやだ、本当に可愛い。食べてしまいたい。

我知らず、少年のほほに口づけた。

『わっ、何すんだよ』

『キス』

『……』

『嫌だった?』

『……別に……嫌じゃないけど……』

『じゃ、もっと、してもいい?』

『……』

『オズワルド様、正直に言っていいのよ。あなたが嫌がることをしたいわけじゃないの。ただ、可愛いあなたと、もっと、もっと、仲良くなりたいだけ』

『……うん』

『なあに?』

『……いいよ』

『え、なあに? よく聞こえないわ』

『いいよ。……もっとしても』

くはっ。

どこか、大事なところの線が、二三本切れた音が聞こえた。

抱きしめて、キスをする。むさぼるように。なぶるように。いつも、されていたことを、そのまま本人に返している。そう思うだけで嗜虐的快感の大槍で、脳髄をかき回されているようだ。

『お姉ちゃん、俺……俺……』

『なあに、オズワルド様?』

『俺、なんか変だよ……どうしちゃったの?』

『大丈夫よ、男の子なんですもの。それでいいのよ』

『あっ、あっ……お姉ちゃん、そんなところ、ダメだよ……ああっ』

『素敵ですわ、ここはもう……』

『俺、こわいよ……』

『怖くなんかなくてよ、オズワルド様。私が教えて差し上げますわ……あなたが教えて下さったことを……すべて……』

「……ェンドリン様! グウェンドリン様!」

袖を引く力に、ぼんやりと視線を宙空から引き戻すと、ミリスが小声で話しかけていた。

ナプキンを突き付けている。

「お口許を。……よだれが」

言いにくそうにそれだけ言って、目をそらす。

はっと気付いて、あわてて拭う。良かった、もう少しでお母様のドレスにみっともない染みをつけてしまうところだった。

オズワルド様は、とこっそり様子を窺うと、隣のブロムと話していて、気が付いていないようだ。

━━良かった……

虚空をぼんやり見つめてよだれを流す態なんか、誰にも見せられない。特にオズワルド様だけには。

「タイタニアも、あれほど人間が増えるまでは、大きな森じゃった。リングフォールドは昔、タイタニアの森とつながっておって、一つの大きな森になっておったのじゃ。わしの生まれるよりも昔に、ボルケネルンの大きな噴火があって、大地が沈んでの。タイタニアとリングフォールドは分かたれたのじゃ」

なるほど。ブロムの昔話に、オズワルドは合点する。妖精には寿命がない。メルヴィン程の強力な妖精なら、その当時から生きていて、タイタニアの伝統料理を知っていても不思議はなさそうだ。

「そうだったのか。なんにしても」

何食わぬ顔で口元を拭う、自分の妻を見て、オズワルドは柔らかく微笑った。

「我が奥に、よだれが零れるほどに、お気に召していただけるのだったら、もっと早くお作りして差し上げれば良かった」

ちがっ。

叫びかけるが、声にならない。

見られていた、と、グウェンドリンは、頭が破裂しそうなほど血が上るのがわかった。違います、パイはおいしかったけど、それでよだれを垂らすほど私は意地汚くはありません。しかし、子供時代のオズワルド様をいじくり倒す妄想で、よだれを垂れ流すほど興奮したのです、などと、まさか本当のことは言えない。いくらオズワルド様の愛が深くても、ドン引きされてしまうに違いない。

「本当に、とても美味しゅう御座いました。オズワルド様には、意外な才能がございましたね」

茹でたように赤くなって身じろぎもしない女主人のために、ミリスが助け船を出した。すっかり空になったワゴンの大皿の上に、各々の食器を重ねながら

「後片付けは、私が致します。お昼の用意は、もうしばらくかかると存じます。少々遅くなっても、よろしゅう御座いますか?」

問いつつ、オズワルドに向かって目配せしてくる。オズワルドには勿論、正確に意味が通じている。奥方を寝室へ誘え、と促しているのだ。

先ほどからグウェンドリンの発する桃色のオーラが、剣士ならざるミリスやブロムの感覚にまで触れるほど、色濃くなっているのだ。少し発散させなければ、グウェンドリンは破裂してしまうかもしれない。

戯れに、ふと試みた遊びが、これほどグウェンドリンに気に入ってもらえるとは思わなかった。リングフォールドでは、やや子供っぽい部類に入る遊びである。オズワルドも無論、楽しんではいるが、夢中になるほどのことではない。

聞くところでは、もともとは、人間や動物の生殖にまつわる儀式だという。獣や人と違い、妖精は、胎から生まれない。だから、その必要はないのだが、彼らは、それを、面白い遊び、と思ったらしい。妖精たちは、好んで、男や女の姿を模って、人間達と、あるいは妖精同士で、恋を語らったり、まぐわったりして、大いに遊ぶのである。

オズワルドも人間相手は初めてだ。少し勝手が違う。それに、グウェンドリンほどの初心者とは、彼には全く手合わせの経験がない。いろいろ気を遣うので疲れる。

グウェンドリンの無知と未経験が、かえって、人間にとっての、その儀式の神聖さを物語っているように思える。やはり大事な神秘なのだ。妖精たちとのように、面白半分でしては、いけないのだろう。グウェンドリンと接する度に、オズワルドには襟を正すような思いがある。

生殖の儀式だとすれば、いずれ子供ができるのだろうか。しかし、ここ何日も、暇があれば繰り返しているが、何事も起こらない。噂は間違っていたのだろうか。

やり方も様々だからな。自分と彼女の二人きりでしか試みていないから、バリエイションが限られているが、彼女につらい思いをさせない範囲で、いろいろ試みてみよう。何か、間違っているところがないか、今度、ミリスに訊いてみてもいいな。

グウェンドリンと、自分の子供……想像を超えるが、もし、恵まれるのであれば。

俺が、父親になる。

めくるめくようだ。正直、恐ろしい気持ちもある。自分は、父を知らない。まともな父親を。はたして、まともに、子供に、父親として、対してやれるのだろうか。

一方。そのことに。かつえている自分を、感じている。子供が欲しい。家族が。育てたい。人間として、血を分けた、自分の子供を。

同じだ。

グウェンドリンを求めることと、同じなのだ。迷いと、恐れと、ためらいと。そして、それ以上に、深く、愛している。

ともに、生きていきたい。

「いいとも、ミリス。では、俺達は」

と席を立ちながら、オズワルドは愛妻に向かって利き腕を差し出した。

「少し、休むとしようか。」

はい、と消え入るようにうつむいたまま答えて、しかし確りと、彼の最愛の人は、その手を取った。

 



 

おしまい。

読んでくださってありがとうございました。

 

これはひどい。

 

ナップルパイは、オズワルド編第6章、タイタニアの市街でレシピが手に入ります。こんなメジャーな、作り方も簡単なお菓子が、こんな後半に出るなんて、と妙に印象に残りました。オズワルドにナップルパイというのも、なんだかミスマッチで。

終焉に入って、オズワルドの出生の秘密が明らかになります。実は、前タイタニア王との孫! 世が世なら、コルネリウスより王位継承権が高いという立場なのでした。

なんて設定を読み重ねるうちに、SSに出したような捏造設定を思いつきました。

 

エドガー王子は、国を捨てたかもしれない。

が、郷里までは、人間、捨てきれはしないものです。生まれてきた息子に、自身も食べて育った、ふるさとの伝統の菓子を食わせて育てたい、と思ったかもしれない。自身は二度と踏めない、郷里をそうやって偲んだかもしれない。

幼いオズワルドは、そうとも知らず、ナップルパイの味を、父母の味として、味覚の根本のところに刻み込んでいたりして、とか。メルヴィンも、食べさせれば泣きやむその菓子の味まで、否定しようとはしなかったんじゃないか。

エドガーとその妻の。あるいは、メルヴィンの。そして、ブロムの。オズワルドに対する親心と、その屈折。

 

とかなんとか、そういうちょっと渋めの、「いい話」になる予定だったんですよ、最初のおれの想像では。

 

それが。

これはひどい。

台無し。

グウェンドリン。すまんかった。おれが本当に悪かった。

とにかく、いろいろ済みません。本当に済みません。ごめんなさい。

本当にどうして、おれが書くグウェンドリンは、こんなに馬鹿なんだろう。馬鹿と言うか色ボケと言うか。中学生並みのエロ妄想と前回書きましたが、それも軽く超えました。

グウェンドリン好きな人ごめんなさい。キャラ壊れ注意!!(今更書くな)

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